300年前の大洪水の未満水では、竜西側の各地で支川が荒れて大きな土砂災害が発生しました。野底川(飯田市)と大島川(高森町)を襲った土石流は、その痕跡の大石とともに「泣き石伝説」が今も語り継がれています。今回は未満水を象徴する二つの大石を紹介します。

■夜泣き石(子泣き石)

野底川の土石流によって長さ7mもの花崗岩の大石が松川合流点付近まで運ばれてきました。その大石の下敷きとなって犠牲になった幼児の泣き声が聞こえるようになったため、石の上にお地蔵様を祀って供養したと言い伝えられています。


野底川の夜泣き石(飯田市上郷)

■出砂原の大石(夜泣き地蔵)

大島川の土石流による犠牲者の置き土産と噂された高さ3mの大石です。伊那電鉄の敷設工事(大正12年)でこの石を動かした時に石のまわりから泣き声が聞こえたため、お地蔵様を祀ったところ泣き声が止んだと伝えられています。


出砂原の大石(高森町下市田)

■この大石と伝説は何を語るか?

これだけの大石を運んできた土石流のすさまじさは想像を絶します。そんな土石流を目の当たりにした私たちの先祖の恐怖は測り知れません。そうした背景を考えると、大石から聞こえた泣き声は、まるで未来の子孫への警鐘とも受け取れます。300年前の惨劇を経験した先祖が発信した「メッセージ」から学んだ過去を、現在の防災活動に活かし、未来に伝えていくことが、私たちの役割です。

※広報誌かわらんべ第148号に掲載