飯田の丘の上から消防署前の道を天竜川に向かって降りていくと、野底川をわたったすぐ右手に直径7mほどの大きな石があります。まわりには家や工場が建ち並び、注意しないとすっと通り過ぎてしまうような街中です。
この石は正徳のひつじ満水(1715年)のときに、山から土石流となって野底川を下ってきた夜泣き石です。下敷きになって亡くなった子どもを弔う(とむらう)ために、石の上にお地蔵様がまつられています。
ひつじ満水から250年ほど経った昭和36年6月17日、この地区は再び土石流に見舞われ、あたり一面、石や砂におおわれました。伊那谷に大きな被害をもたらした三六災です。夜泣き石の周りは再び荒れ地になりました。
夜泣き石の上に立つお地蔵様は、しずかに過去のできごとを語っています。

(村松 武:飯田市美術博物館)