天竜川に春を告げる生きものを紹介します。その名はヤマトヒメカワゲラという「きれいな水」にすむカワゲラの仲間です。幼虫は冬の厳しい寒さの中で成長し、成虫は桜の開花よりやや早く現れます。河原に舞う成虫の姿は桜の季節の訪れを感じさせてくれます。このカワゲラには不思議なことがいくつかあります。それは、
①成虫の時期が長く、成虫がどこで何をしているのか解っていない
②成虫は初夏に産卵するのに、幼虫が出てくるのが半年以上あとの秋~冬ごろ
③洪水で天竜川の水生昆虫が少なくなってしまっても、このカワゲラはそんなに少なくならない。この謎を解くため、成虫を飼育したり、いろんな情報を集めて想像してみました。成虫は「赤トンボ」と同じように卵ができるまで山で過ごし、初夏に天竜川へ戻って卵を産みます。孵化した小さな幼虫は川底深くにもぐりこみ、夏の間を休眠して過ごしているようです。きっと成虫も幼虫も暑さが嫌いなのでしょう。また、洪水の時期を川底深くで休眠して安全に過ごすため、洪水の影響を受けにくいのかも知れません。この想像が正しいかどうか、春の天竜川がとても気になります。

(環境アセスメントセンター 久保田 憲昭)