広報誌かわらんべ 172号掲載分

 

天竜川漁業協同組合員有志 【天竜差し未来会議】
天竜川で育った大型アマゴ(サケ科魚類)が支川へのぼっていく「天竜差し」は、ザザムシと並び、伊那谷天竜川の象徴的生物の一つです。外来魚や魚食鳥類の増加でかつての天竜川の魚たちが減っていく中、次世代に天竜差しの存在と魅力の伝承を目的に、若い組合員による新しい視点での取り組みが天竜川漁業協同組合で始まりました。
渓流魚解禁直前に組合長と発案者に話を伺いました。

若い世代の発案と先見的な組合の勇断

「将来に向けて天竜差しを増やしたい」本流での鱒釣り好きの組合員有志10名ほどの発案に、組合理事会の理解と承認が得られ、組合の歴史で初となる天竜川本流へのアマゴ放流が今年度から事業化されました。

組合長(手前)と発案者の組合員有志のみなさん。
「天竜川つり大会」H27年5月17日

まずは分布・移動把握の調査を計画

今回は試験的に放流し、分布や移動を確認することにしました。調査には水産試験場の助言も得て、1300尾の「あぶらビレ」(泳ぎに無関係のヒレ)を切除する標識を施し、晩秋の天竜川に放流しました。放流場所も魚の移動を考慮して計画し、再捕獲で得たデータを今後の効果的・効率的な事業運営に活かしていくねらいです。
メンバーのみなさんには「かわらんべ講座」の釣り体験でお世話になりました。

「天竜川つり大会」H27年5月17日

昨年11月25日に標識を施したアマゴを天竜川へ試験放流。前日降雪で気温低下の朝、水温10℃の過酷な放流作業であったが、この魚たちが大きく育ち「天竜差し」となっての再会に期待が膨らむ。

(写真提供:天竜川漁協)

川と親しみ、その先に「天竜差し」がいる

「子供の頃に天竜川や支川で川と親しみ、釣りを覚え、魚を育む環境のことも知り「天竜差し」と出会った。そんな体験を現代・将来の子供たちにも味わってもらいたい」。それには、天竜差しが生息できる河川環境が保全され、本流アマゴが豊富にすむことが理想です。その実現に向けて活動を進めています。

天竜川で育ち支川にのぼった「天竜差し」の大アマゴ。夏を過ぎる頃、オスの鼻がカギ爪のように伸びて精悍。 (写真提供:天竜川漁協)